ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

元ホームレス、猫を飼う

その猫は捨てられ

宿無しの身となった。




猫が穏やかに暮らしていたかどうか

私は知らない。


近所の噂では

児童虐待や家庭内暴力があり

母子は逃げ出し、父親は行方をくらませ

猫は捨てられたという。


そうして猫は野良となった。


初めて見る私に物怖じせず近づいては

足に擦り寄ってくる

人なつこい可愛げがあった。


2歳児が触っても穏やかで逃げず

この猫であれば一緒に暮らしていきたい。


そう思ったが

我が家は職場から借りており

許可を得る必要があった。




すぐに許可は得られたが

産まれたばかりの子がいる状態で

新しく猫を飼うのは如何なものかと物言いが付いた。


猫を飼うことに無知であった私は躊躇い

日が空いた。


そうこうするうちに

野良猫を地域猫と呼び給餌する

近所では悪評の高い高齢女性が猫を保護した。


まもなく里親募集の告知がなされた。



その女性は私の顧客であり

近所の知り合いとして挨拶を交わす程度は知っていた。


ゴミ出しの際に顔を合わせ

里親がなかなか見つからないと女性は言う。


もし里親が決まらないのであれば

私が引き取りましょう

ただし、産まれたばかりの赤子がいるため

少し待ってほしいと伝えた。


赤子はすくすくと育ち

寝返りをうっては

じきに動き出しそうなほど大きくなった。


そして今日

猫に給餌する女性から猫を譲り受けた。




しかし

猫の様子は以前と違っていた。


足に擦り寄ってくる人なつこさは消え

ケージから出てこず

怯えたような目で私と視線を合わせない。



女性は保護している間中

女性宅の飼い猫と馴れ合わないように

ケージから出さなかったという。


赤子が寝返りをうつまで

およそ8ヶ月。


猫は、人間を疑う目つきに変わっていた。




私は後悔した。

すぐに引き取ってやればよかったと。


怯えてケージから出てこない猫を見るに悲しくなり

罪悪感が募る。




人間の勝手な都合で

捨てられ、閉じ込められして

心を閉ざしてしまった猫。



彼には時間が必要だ。

怯えている。



これからは

ケージの扉は常に開いている。


彼の心も同じように

開いてくれるよう努力したい。


ありがとう。

2歳児の おやつ禁止令

夕食前

2歳の息子がシリアル(チョコ味)を食べたいと

かみさんに訴えていた。


「ご飯の前だからダメ」

「たべたいよー!たべたいー!」

このやりとりが何度か続いた。


「仕方がないなあ」

かみさんは根負けし

息子にシリアル(チョコ味)を提供する。




「そのやり方だと、

駄々をこね続ければ相手(親)が折れ

2歳児は要求が通ることを覚えるだけだぞ。」


私はかみさんに注意を促す。


「どうせ提供するのであれば、最初から渡しなさい。

要求を通したいとき、駄々をこねるようになるぞ。」


私が言うと

かみさんは不服そうだ。




私はご飯前に菓子を食べてもいいと考えている。

毎食前に菓子を食べるのは問題だが。




2歳児にとって

夕食の時間が18時過ぎでは遅く

腹が空いてしまう。


16〜17時に2歳児の夕食を提供できればベストだが

生活や仕事の都合により、そう上手くはいかない。


食事の時間は

親の都合で決まる。


2歳児の腹具合は

その時間にうまく合わせられない。




3度の食事をうまく取れないなら

1日に摂取する総量で考えたい。


つまり、いつ菓子を食べるかは大した問題でなく

1日にどれだけ菓子や飯を食べているかを注視したい。




私とかみさんのやりとりを横目に

2歳児は提供されたシリアルに手を付けず

冷蔵庫から6Pチーズを取り出した。



「これたべたい。」

2歳児は笑顔で私に訴える。


提供されたシリアルがあるだろう

まずそれを食べなさいと促すも


チーズを食べたいと強く訴える。




記したとおり

食前にチーズを食べても問題ないが


自分が要求し提供されたシリアルを

食べないことは大きな問題だ。


私は食べ物を粗末にする人間が

すこぶる嫌いだ。





「チーズを食べることは止めないが

そのチーズを食べれば1ヶ月の間

お菓子とガチャガチャは禁止にするよ」

私は穏やかに2歳児に伝える。




2歳児には「1ヶ月」がなんのことか

理解できていない。


理解できていない状態で提示するのは

卑怯なやり方だが

1ヶ月禁止令を身体で覚えてもらう。



以前にも

タブレット禁止令(1ヶ月)を出したが

息子が規律を学ぶ観点から

私はうまくいったと考えている。


「本人が了承した結果であること」を理解してもらうため

スマホで次第を動画に撮りパソコンに移す。




「うん、わかった」

言うが早いか

2歳児は6Pチーズを開け始めた。



「1ヶ月、お菓子とガチャガチャが

禁止になってもいいのかい?」


「いい」

気持ちがいいほどの2歳児の即答だ。



「スーパーに買い物に行っても

お菓子もガチャガチャも買わないよ?」


「うん、わかった」


そこまで言うと

2歳児はチーズを食べ始めた。



これを動画に撮りパソコンに移す。


お菓子が食べたいと訴えたとき

「自分が了承したこと」を2歳児に伝える。




翌朝

私はバームクーヘンを

息子が見ている傍で頰張る。


いつもなら息子は「ちょーだい」と笑顔で訴え出るが

昨晩のおやつ禁止令発動を覚えているようで

テレビを見たり線路をつなげ遊んでいる。


これ以降、禁止令中は

息子の前では菓子を食わない。

かみさんにも協力してもらう。


これ見よがしに見せ付け

性格が歪んでも困る。




さらに翌日

「おやつたべたい」と訴え出るも

動画を見せることにより

2歳児は自分がした結果の禁止を受け入れ

おやつを諦めている。




さらに翌日

私はスーパーに買い物に行くため息子に声掛けする。


お菓子もガチャガチャも禁止だから買わないが

何か美味しいものを買おうよと誘うと

2歳児の目が輝く。



おやつ禁止令は

お菓子売り場の棚にあるものとアイスを禁止にし

その他には制限はない。


栄養補助食品も菓子売り場ではないため

食べることを認めて購入している。


私はおやつ禁止令を

息子が新しい食べ物に挑戦する機会としても考えている。



息子はチーズ売り場に来ると

興奮したように繰り返しながら吟味している。


「チーズはおかしじゃない!チーズはおかしじゃない!

これでもいいし、これでもいい!

これもたべれるし、これもたべれる!」


2歳の息子は

よほどチーズが好きなようだ。




おやつ禁止令は現在も継続中だが

大して苦しい様子も見られず順調だ。


禁止令発動後すぐに

息子の行動に嬉しいことがあったため

禁止令を解いてやりたいとかみさんに話したが

1週間は続けてみようと窘められた。




彼は1ヶ月後、禁止令を耐え

また少し成長しているはずだ。


ありがとう。

かみさんの涙

6時、起床すると
すでにかみさんは起きていた。


0歳児が5時に目覚め
付き合わされて起きたようだ。


かみさんが回した洗濯機が止まり
私が洗濯物を干す。


2歳児はまだ夢の中だ。




6時30分
私は洗濯物を干し終えて
かみさんと0歳の娘の前に座る。


「昨晩は息子が、なぜ寝なかったか、理由を考えたかい?」


予期せぬ質問に
豆鉄砲でも食らったような表情のかみさん。


「、、〇〇ちゃん(息子の名前)はね
 お母さんに振り向いてもらいたかっただけなんだ。」


かみさんは目を丸くしている。




「昨晩、妹を寝かしつけてるとき、〇〇ちゃんが抱き着いていったでしょ
 あれは寝かしつけを邪魔しに行ったわけじゃあないんだ。


 昨日の夕方、昼寝から起きたら公園に遊びに行こうと
 (かみさんが)〇〇ちゃんと約束したね。


 そのとき帰宅した私に〇〇ちゃんが
 「おっとーもいっしょにいく?」と言ったのを覚えてるかい?」




黙って聞くかみさん。
私は静かに続ける。



「〇〇ちゃんは、公園で遊びたかったというより
 『お母さんと一緒に』遊びたかったんだ。
 だから「おっとーもいっしょにいく?」という表現になったんだよ。


 しかし公園に行ってすぐ17時になって冷えてきたため
 私が娘の帰宅を促して、おっかーが帰ってしまった。



 かみさんの帰り際
 私が〇〇ちゃんを抱っこしてたの覚えてるかい?


 あれは、おっかーが帰ってしまうのが寂しくて
 声を殺して泣いていたんだ。


 いつも娘の世話で自分と遊ぶ時間の無いおっかーと、
 公園で遊べるから


 、、楽しみだったんだ。」




子供は自分が親から愛されているかを考えるときがある。


私が子供の頃、親戚の4歳前後くらいの女の子が
「わたし、ほんとうの子じゃないんだ。よそからもらわれてきた子なんだ。」


思い詰めたような表情で
悩みを打ち明けるようにして私に話してくれた。


その子が生まれる前から、私はその親夫婦を知っていたため
とても可笑しかったが、そんなことはないよと励ましたことを覚えている。




「娘の寝つくのを邪魔しに行ったわけじゃなくて
 公園で遊べなかったから、母親との関わりがほしかっただけなんだ。


 、、毎日、娘が寝つくように子守唄を聴かせてあげてるでしょ。(生活の質的向上)
 でも〇〇ちゃんが寝るときは
 オムツを換えて、歯みがきして寝る、、(関わりが生活の作業)だけなんだよね。」




介護員時代に研修を受けたクオリティオブライフとは
このことなのだろうと思い出していた。




「だから母親との関わりが欲しくて
 ズボンを履くだけの小さな関わりでも
 時間を引き延ばそうとしてふざけるんだ。
 
 母親に自分を見てほしいからね。
 
 ふざけてなかなか履かないから
 母親は苛立ってしまうけどね。」




かみさんは声も出さず
大粒の涙を4枚目のティッシュで拭いた。




「、、家事と育児で大変なのはわかるけど
 食事の支度とか、皿洗いとか、無理してやらなくていい。
 
 そんなことは私がやるから
 子供が遊んでほしいときは、関わりを持つ時間を増やしてあげてほしい。
 
 母親と一緒にいるのに、寂しい思いをさせないであげてほしいんだ。」




時刻は7時を少し過ぎていた。


私は寝床でまどろんでいる息子の隣に横になり
息子が目を開けるのを待った。


息子は気配を感じ、私と視線を合わせる。
「おはよ!」
私が挨拶すると笑顔を返した。




昨日
息子と病院に行っていたかみさんが帰宅した。


「ちょっと公園に行ってくる。」
かみさんは言うなり荷物を置く。
息子は帰る最中にベビーカーで寝ているという。


寝てるならいいんじゃないかと私は止めた。
「病院で、公園で遊ぶって
 起こしてあげるって約束したから!」


そう言うとかみさんは17時だったが公園に向かった。



私は笑顔で頷き、
ジャガイモを茹で
キャベツを切り
手羽元にレモンをかけて
リンゴをすりおろしたものを加えてフライパンで炒め
夕食を整えた。




17時30分


息子とかみさんは
笑顔で手羽元を頬張った。


私は
この家族が好きだ。



ありがとう。