ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

2歳児が漏らした日の父の悲しみ

帰宅すると2歳児が独り

居間でテレビを見ている。


おかえり、おっとー


いつもと変わらない様子だが

居間に敷いてあるカーペットが

手のひらほど濡れている。



いぶかしんで2歳児に訊ねる。

これどうしたの?


2歳児は変わらぬ調子で答える。

おしっこしたの




2歳10ヶ月になる息子は

まだパンツタイプのオムツをしている。


私はわけがわからず

阿呆みたいに同じ質問をした。

え?どういうこと?これどうしたの?


2歳児は先ほどより調子を下げて言う。

◯◯さん(息子自身の名前)おしっこしちゃったの




テレビを見る息子の後ろ姿に

ズボンが濡れている。


はっと息を呑む。


慌ててズボンの中を覗き込むと

何も履いていない。




そのとき

かみさんが隣の部屋から出てきた。


「もう〜、トイレでするって言ったのに〜」


息子はごめんねと

かみさんの吐き捨てた台詞に合わせた。




なんてことだ。


私は目を閉じ

口を一文字に結ぶ。


目頭に悲しみが溢れそうになる。

零れ落ちないよう呼吸を深くして感情を整える。




ここしばらく

かみさんの息子に対する冷たく言い放つ言葉から

私はネグレクトを疑って悲しみが込み上げた。


しかし即時に考えを改めた。

おそらくトイレトレーニングか何かのはずだ。


息子がふざけて

パンツ履きたくないと手こずらせたため

嫌気がさして放置したのかと考えたが


ズボンは履いている。

ネグレクトならこうはならないはずだ。





私が急に目を閉じ、口を閉ざしたため

息子が心配している。


どうしたの?おっとー?どうしたの?



漏らしたズボンのままでいる2歳児に

私は謝罪した。


ごめんね、、冷たかっただろう。着替えようか。

着替えたら公園にでも行くかい?




私は小学1年生のときに

難病を発症している。


授業の度にトイレに行き

その度に大量の水を飲んで戻るを繰り返した。


授業の度にトイレに立つ私に

ふざけていると考えた教師が

小学1年の私を強烈に叱りつけた。


授業の前にちゃんとトイレに行っておきなさい!


私は恐怖から

次の授業では

手を上げてトイレに行きたい訴えができなくなった。


私は教室で失禁した。


漏らした情けなさ

教師に理解してもらえない悲しさ

酷い尿意にも関わらずトイレに行かせてもらえなかった理不尽




2歳児の濡れたズボンを見て

悲しみが込み上げた。


かみさんの息子に対する冷たい言葉か

過去の失禁と重なって見えたか

自分でもよくわからない。


ただ、久しぶりに

心臓の裏側がちくちくと刺されるように痛んだ。




17時過ぎ

息子と公園の砂場で遊ぶ。


誰もおらず寂しい貸切だが

息子は喜んでくれた。


遊んでいると

以前にも同じ時刻で一緒に遊んでくれた

保育園帰りのひとつ年上の男児と祖父が来た。


少し仲良くなれたようだ。



19時前に男児らは帰宅したが

その際、帰宅したがらない男児の砂場の玩具を

2歳児は自発的に水道まで行き洗ってあげている。


息子の強い希望により19時30まで延長して遊び

まだまだ遊びたいと訴える息子に

私はお願いをした。


また明日、遊びに来よう

おっとーが嘘ついたことあるかい?

約束は必ず守るよ。


2歳児は縦に頷き

砂場の玩具を袋に片付けてくれた。



ひとつ年上の男児と見比べるに

この2歳児は

精神的にも体格的にも知能的にも

3歳児より発達しているように見えた。




帰宅して夕食後に

彼は自発的に言う。


なんかてつだいたい


皿を洗い終えた私は

キッチンペーパーを取り

洗い終えた皿とを息子に渡し

水気を拭くお手伝いを頼んだ。


息子は快く引き受けてくれた。



笑顔で就寝の床に着いた彼は

かみさんと0歳の妹と

3人がけたけたと笑いながら戯れている。


それを横目に

私は幸せな気持ちで

眠りに着くことができた。



ありがとう。