ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

胸に何かが刺さるとき

百貨店には幼児が遊ぶスペースが設けられている。


買い物ついでというよりは

そのスペースで息子に存分に遊んでもらうため足を運んでいる。




息子と一緒に転がったり

ぴょこぴょこ飛び跳ねたり

両手を広げて歩いたり

一所懸命に息子と遊ぶ。


息子と同い年に見える女の子が

私に近寄って遊んでほしいような目で見つめている。




親とはぐれたかと気を付けて見ると

その父親はベンチでスマホに興じている。


女の子が何かを訴えているが

適当にあしらうとスマホに目を戻す父親。


私の胸に何かが刺さる。




女の子は再び私と息子の元に来た。

女の子も息子も気恥ずかしそうに距離を置いている。


私は両手を広げて壁に向かって歩き出す。

息子も笑顔で続く。


女の子は様子を見ている。


壁に両手をタッチすると

私と息子は今度は反対の壁に。



女の子は私を見つめている。

私は何も言わず視線を合わせ

口角を上げて小さく2回頷いた。


すると女の子は

私と息子と同じように両手を広げ

一緒に壁に走り始めた。


私と息子と女の子は

笑顔で壁にタッチを繰り返す。


ふと見ると女の子の父親がベンチにいない。

これはどういうことか。


女の子を不安にさせないよう

そのまま遊び続けると父親が戻ってきて

またベンチでスマホを始めた。


あとからかみさんに聞いた話では

隣にあるゲームコーナーに

もう1人子供が遊んでいたらしい。




私と息子と女の子が遊んでいると

さらにもう1人、女の子が増えた。


その母親が近くのイスに座り

なんとかちゃん、走らないで!

なんとかちゃん、ジャンプしないで!

なんとかちゃん、飛び跳ねないで!

しきりに注意している。


息子と女の子2人が

一緒に走ったり転がったりして楽しそうだ。

私はそれを座って見守る。


ベンチに目をやると父親はスマホを続けている。

イスでは母親が一心不乱にスマホを指で払っている。


この父親と母親は

別々の女の子の親だ。




1年より少し前に

かみさんと息子と公園に行った際に

砂場の片隅に腰掛ける母娘がいた。


母親はスマホから目を離さず

隣に腰掛ける2歳程度の女の子は

つまらなさそうに小さなシャベルをいじっていた。


この女の子の悲しげな表情。

このときも私の胸に何かが刺さった。


砂場の母娘の話は

ことあるごとにかみさんに話している。


砂場にいるから楽しいわけではない。

母親と一緒に砂場で遊びたいから砂場に来たいのだと。




子供たちが親と遊んでくれる時間は長くはない。


すぐに、友達や恋人、熱心に打ち込める何某かによって

親と遊ぶ時間など、あっという間に奪われてしまうというのに。



胸に何かが刺さるとき

子供たちとの黄金のような

幸せな時間を

私は大切にしたいと強く願う。


息子は私の足を登って

ぐるんと回る逆上がりのような遊びが

最近のお気に入りだ。


寝付く直前までぐるぐる回っている。


ありがとう。