ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

そこに居てほしい気持ち

土曜、時刻は16時

2歳の息子が河川敷に行きたいと訴える。

そろそろ入浴し、夕食の時間だが。


本当に行きたいか訊ねると

いきたいの、うんうんと笑顔。


まだ陽も傾いたばかりで

暗くなる前には戻れるだろうと

息子と河川敷に赴く。


息子は100円ショップで買った

サッカーボールサイズの柔らかいボールを

河川敷で転がす。


きゃきゃきゃきゃと笑顔で走っては

ボールを捕まえて楽しそうだ。


来てよかったと私も満足し

見込み通り暗くなる前に帰宅。




次の日の日曜日。


上野か池袋にでも行こうかと思い息子に訊ねる。


遊びに行こうか、どこに行きたい?

かしぇんじき!


息子は即答した。

よほど昨日が楽しかったようだ。

するとかみさんが立ち上がる。


じゃあ私も行こうかな


思わぬ申し出に

息子は大いに喜んだ。




河川敷に着き

ボールを追う私と息子。


きゃきゃきゃきゃと笑顔。


後ろから娘を抱いたかみさんが

のんびりと笑顔で歩く。


頬を撫でる風は涼しく

日差しは柔らかい。

散歩にはいい日和だ。


菜の花の咲く河川敷の土手を

私と息子は登ったり下りたり

テントウムシを一緒に眺めたりする。


おっかーしゃーーん!


土手の上から手を振る息子。

かみさんはそれを見上げ笑顔で手を振る。


私の思い描く幸せのひとつが

このときだった。



1時間程度は歩いただろうか。

そろそろ時刻は昼時だ。


0歳の娘はぐずりもせず散歩に付き合ってくれている。


息子も娘もだが

外出時に泣いて困ったという記憶が

いまのところ私には無い。


しかし、娘のオムツも心配だ。




お昼を食べに帰ろうと提案すると

息子は帰らないと言う。


昨日は薄暗くなり帰宅したが

まだ昼になったばかりで、いい日和だ。

帰りたくない気持ちが

手に取るように理解できる。




私は息子と河川敷に残り

かみさんに娘の世話を頼み帰宅してもらった。


しばらく河川敷で遊んでいると

息子は母親がいないことを私に訊ねる。


さっき先に帰ったでしょと伝えると

息子は静かに絞り出すように泣き出した。

私は驚き理由を訊ねる。




おっかしゃんと、

いっしょに、

いたかったの、




絞り出された息子の言葉に

殴られたような気分だった。


河川敷に来てから

かみさんは後ろから歩いてきただけだ。


一緒にボールを追うことも

一緒に土手を登ったり下りたりもしていない。


私は安易に

遊び相手がいればいいと

彼の気持ちを考えていた。


考えが浅かった。


そこに居てほしいという気持ち。


家族一緒の楽しい時間を

彼は喜んでくれていたのだ。



おっかーのところに行こうか


私の促しに

しぶしぶ息子は頷いた。




息子と遊ぶのは父親の役目

娘の世話は母親の務め


夫婦間で暗黙のうちに役割が出来上がる。


役割をルーチンワークでこなせば

気持ちを見失ってしまう。


効率や都合に目を奪われがちで

真に子供達の気持ちに寄り添っているのか

もう一度自問したい。



上記の話をかみさんにはしていない。


ただ、河川敷で母親に居て欲しかったと息子が泣いたことだけ伝えた。




月曜の夕食後


かみさんは息子と部屋の中で

ぴょこぴょこ踊ったり

ボールを奪いあったり

頭をぐりぐりしたりして遊んでいる。


私は娘を抱き抱えながら

それを眺めた。


ありがとう。