ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

3歳児の「あっちいけ」と、父の謝罪

6時30分


雨が降っており
早朝の洗濯は休止だ。


私が居間でスマホのゲームアプリで遊んでいると
早起きの1歳児が寝室から起きてくる。


おはようと挨拶すると
きゃきゃきゃと笑顔。




7時


かみさんが起きてきたので
私は居間で掃除機をかける。


連日に目が痒く鼻水が出ていた。
部屋の埃が酷いと始まる症状だ。


私は雑に掃除機をかけ
3歳児が寝ている寝室で
布団と毛布の上から掃除をかける。


3歳児はそれでも起きることが無かった。




7時30分


寝室で目覚めた3歳児が
横になったままでぼんやりしている。


私は3歳児の横で添い寝して
おはようと声掛けする。


3歳児は添い寝する私をめんどくさそうに見て言う。
「あっちいけ!」


はっとして声が出ない私を両腕で押しながら
3歳児は続けざまに言い放つ。
「あっちいけってばあ!」


私はどうしていいかわからず目を泳がせながら
すごすごと居間に退散した。




まもなくして3歳児が起きてくる。
とくに機嫌が悪いふうでもない。


3歳児と話しながら
いつも通りふざけあっていると、またしても言う。
「あっちいけ!あっちいけよお!」



私は寝室に入り距離を取る。
これはいったいどうしたことだろうか。


思い巡らせると心当たりがある。


トイレに入って用を足そうと便座に座る私に対し
その状況でも執拗に遊ぼうとする3歳児。


ゆっくり用を足したい私は苛立ち言う。
「うんこするから、あっち行っててよ」


それでも3歳児は遊ぼう遊ぼうと食い下がる。
私はキツめに声を大きくして言い放つ。
「あっち行っとき!」


言われた3歳児は項垂れて居間に引き下がる。
こういったやりとりが何度かあった。




8時
出勤の時刻となる。
3歳児はいつもどおり「いってらっしゃーい」と送り出してくれる。


午前の勤務中
私は「あっちいけ!」を考えていた。



悲しい気持ちだ。


言われた側はとても悲しい気持ちになる。
私の考えが足りていなかったせいだ。




昼食時に帰宅すると、3歳児に謝罪した。
「〇ちゃん(息子の名)、ごめんな。」


何の謝罪なのかわからず
どうしたのと聞き返す3歳児。


「トイレで、あっち行け!って
 おっとーが言って、〇ちゃんを悲しい気持ちにさせて、ごめんな。」


「〇ちゃんに言われて気づいたんだ。
 あっち行けって言われたら、悲しい気持ちになるって。」


「俺は、〇ちゃんを悲しい気持ちにさせたくないから
 あっち行けなんて、もう言わないよ。ごめんな。」




私が言い終えると
3歳児は私に抱き付いた。


3歳児は目を潤ませていたように見えた。




育児と思わず
人間関係を構築する時期だと
かみさんに言ったのは私自身だ。


あっち行け!と言い捨てて、育つ人間関係があろうか。


自分の不甲斐なさに溜息が出る。




しかし、3歳児に謝罪できてよかった。


親子であれ
夫婦であれ
上司同僚部下であれ


どんな関係であっても
どちらか一方が謝罪できないような関係なら
やがては歪んで、その形は壊れてしまうだろう。




「ごめんごめん」と軽い調子の
謝罪というより誤魔化しのような言い方は避けたい。


親のそれを見た子は
謝罪が必要な場面で誤魔化すようになるかもしれない。




午後の勤務中に
かみさんと3歳児と1歳児は
インフルエンザの予防接種に
雨の中を出掛けた。


かみさんの頑張りに応え
3歳児に誠実でありたい。



ありがとう。