ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

かみさんの買ってきた本 アンガーマネジメント


かみさんが珍しく
少年ジャンプ以外に本を買ってきた。


どうしたんだいと訊ねると
最近イライラしちゃってとかみさん。






ざっと目を通したが

本に書かれていることは

普段に私がかみさんに伝えていることと変わらないように思えた。


私の言葉は

かみさんに響いていないのだなあと

小さな落胆を感じる。





私の前職は

特別養護老人ホームの介護員だ。


高齢による寝たきり

パーキンソンや障害による寝たきり

糖尿病による失明

認知症を伴う転倒リスクの高い徘徊

末期がんの苦痛

認知症の失禁排泄

認知症の人工肛門

認知症の胃瘻造設

気管切開の痰

高齢者の孤独や不安不穏

老化による筋力低下・歩行困難

ご家族様の苦痛


様々な苦痛を抱えた利用者と関わった経験は

人として未熟な私に大きな変革をもたらす。



もともと私は

あまり感情を表には出さない人間だが


それでも心の内では

怒りや悲しみの念が激しくあった。


介護員の経験を通して

それら心の内側での感情も

波立つことが無いとは言わないが

少なく、小さくなった。




介護員とはいえ

認知症利用者の理不尽な行動に

イラつき、頭にくることも多い。


転倒リスクの高い利用者を

トイレに手引き誘導するため

徘徊する認知症利用者に

座って待っていてほしいとお願いしても

待ってはくれず歩き出す。


止む得ずトイレ誘導を優先するが

施設内を縦横無尽に徘徊する認知症利用者を

連れ戻しに行く作業が発生する。


転倒リスクの高い利用者を残して探しに行けば

戻ったときには転倒して骨折するなど

致命症を負いかねない。


かといって徘徊を放置すれば

施設外に出てしまう可能性がある。


施設外に出れば

階段を踏み外したり

車に轢かれたり

山に迷い込んだり

バスや電車に乗って県外まで彷徨ったり

あらゆる危険性がある。




ストマ(人工肛門)の寝たきり利用者の

オムツ交換の際に排便がある。


ストマに付けてあるビニール製のパウチ(糞袋)を

外して新しいパウチと交換する。


筋力の弱い寝たきり利用者は

パウチの接着面が痒いが

オムツを外したときしか

自力では掻くことができない。


糞が詰まったビニール袋(パウチ)を外して

まだ拭いていない肌に糞が付いたまま

肌とパウチの接着面をボリボリと掻く。


当然、寝たきり利用者の手に糞が付く。

寝たきり利用者は軽度認知症でもあり

話が上手く通じない。


いま拭くから待っててねの声掛けむなしく

タオルを取る一瞬の間に


糞が付いたままの手で

衣類を触り

ベッドのシーツを触り

ひどい時は髪をかき上げる。


これを清潔にするための作業が発生する。


身体を拭き

清潔な衣類に着替え直し

ベッドシーツを交換する。


その作業中も

転倒リスクの利用者と

徘徊する認知症利用者を

見守らなければならない。


命に関わるから当然だ。




介護員になったばかりの頃

こういった作業を増やす行為に

内心でいちいち腹を立てていた。


いい加減にしてくれよ


夜勤で介護員が私1人しかおらず

何度も心の内で叫んでいた。




そんな中で新たに

パーキンソンであり気管切開しており

軽度認知症利用者と関わる。


パーキンソンにより

薬が切れたときは身体がほとんど動かない。


気管切開した気切部に付けられたカニューレから

ゴボゴボと嫌な音を立てては

痰が水鉄砲のように噴き出し

それが壁や天井に付く。



なかでも彼が同じ部署の介護員全員を困らせた行動は


ほとんど動けない状態にも関わらず

ほんの少しずつ動いて

オムツパンツを脱ぎ捨てては

寝たままベッドに放尿することだった。


これにより

夜勤で1人にも関わらず

着替えとベッドシーツの交換を

3〜4回することも珍しくは無かった。


もちろんその作業中も

転倒リスクの利用者

徘徊する認知症利用者の見守り

ときにはパウチ交換で便が付いたシーツ交換なども

すべてを同時に介護員1人でしなければならないこともあった。




このパーキンソンの利用者の放尿による

ベッドシーツ交換を一晩で3〜4回


それを1人夜勤で

その作業に何度も相見えるうちに


自らオムツパンツを脱いで放尿する彼に対し

苛立ちや怒りは小さく消えていった。




彼は気管切開により

声が全く出せない。


パーキンソンで

ほとんど動くことが出来ない。


軽度認知症ではあったが

意思疎通は普通と変わらない程度には

可能なようであった。




・気管切開での無声

・パーキンソンでの動作不自由

・意思疎通は可能

・動作不自由にも関わらず、自力でオムツパンツを脱ぎ放尿する問題行動




この放尿を繰り返すのは

話せない彼が

何らかを伝えたい意思表示ではないか


私はそう考えるようになった。





話が長くなり過ぎたので

次に続きます。


ありがとう。