ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

3歳児とデジカメ

3歳児は2歳後半の頃より
スマホのカメラ機能で
画像を撮るのが好きだ。


カシャカシャとやり
自分で撮った壁の画像や
指の画像を見てはきゃきゃきゃと笑っていた。



先日に職場に3歳児が入り込み
私の机の引き出しを探検のような雰囲気で開ける。


引き出しは前任者がペンや定規など備品を
ごちゃごちゃと入れたままにしており
何が入っているか私自身も全てを把握していない。


その中から3歳児は
デジタルカメラを発掘する。


「これ、、?」
「ああ、それはデジタルカメラだよ。」


「もらっても、いーい?」
「ダメだよ、仕事で使うんだから。」


仕事の画像は全て自前のスマホで撮るので使わないが
備品を子に与えるわけにはいかない。



「家にデジタルカメラあるよ。
 おっかー持ってるはずだから貰ったら?」


私が言うと3歳児は目を輝かせ
急いで家へと戻った。




いまどき画像はスマホで撮る。
かみさんもデジタルカメラは使っておらず
3歳児の要望を快諾してくれたようだ。


3歳児はとても嬉しかったようで
かみさんと皮膚科に行く道すがら
カシャカシャとやっていたようだ。


退勤し帰宅すると
バスの中で対向車を撮ろうとして
タイミングをことごとく逃し
道路しか映っていない画像が多い。


撮ろうと思い立ってから電源を入れるので
被写体を映すのに間に合わなかったのだろう。


それでも3歳児は
撮った画像を嬉しそうに私に見せてくれた。


私は3歳児の頭を撫でて言う。
「面白く撮れてるね。」


3歳児は笑顔に輝く。




就寝前
3歳児が生まれる以前に私が買った
写真集を見たいと言う。


私は美術書や写真集が好きで
ホームレスになる前は
学生の頃から様々に集めていたが


今日では新たに買った


写真集の4~5冊になってしまった。




彼が私の元に持ってきた写真集は
鉄骨や鉄パイプが入り組んだ巨大工場の写真集だ。


デジカメを持たせた日に
写真集を観たがるなんてと
やや面白く感じ


20時30分(通常の就寝時刻は20時)ではあったが
彼と一緒に写真集を観た。




21時なんとか就寝の床に就くも
もぞもぞと落ち着きない3歳児


3歳児は1人起き上がり寝室を出る。


少しもしないうちに
カシャっという音と共に
フラッシュの光が居間から何度も零れる。


かみさんが慌てて声を殺しながら3歳児を注意する。
「何やってんの!寝なさい!」


かみさんの声はシャッター音にかき消され
フラッシュが壁を白く照らす。




「写真集に、夜の工場を映した写真があったんだよ。
 夜に画像を撮ったらどうなるか、試したかったんだろう。」


私が言うとかみさんは無言で頷いた。


「何やってんの!寝なさい!ではなく
 どうしたの?寝る時間だよ?と声がけしてほしい。」


頭ごなしに親が寝る時間を押し付けるのではなく
みんなが寝る時間なのに起きている理由を訊いてあげてほしい。


それだけ伝えると
かみさんは息子に寄り添った。




翌朝
かみさんが私に朝の挨拶と共に言う。


「デジカメが起動しなくなっちゃった。」


レンズのあたりにぶつけた跡があり
形がほんの少し歪んでレンズが出なくなったようだ。


使っていないデジカメがもうひとつあるので
かみさんはそれを3歳児に渡した。






私は荷解きしていない段ボールから
アドラーに関する本を6~7冊と
孟子を1冊だけ取り出し、かみさんに手渡す。


「これ全部に目を通しておくように。」
「え、、!」


絶句するかみさんに
私は冗談だよと伝える。


「この2ページだけは読んでおいてほしい。」


私は勇気くじきが箇条書きされたページに
栞を入れた。




クリスマスまで
あと1週間もないことに
いま気付いた。


実質的に今回が初めての
クリスマスになる。


さてどうしたものか。


かみさんと相談しよう。
そうしよう。


ありがとう。