ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

4歳児の涙と アサリの味噌汁

4歳児がアサリを食べてみたいと

要望したことがあった。


私は喜んでアサリを買い

かみさんは味噌汁にした。


4歳児はアサリの味噌汁を気に入り

また食べたいと言ってくれた。



そのアサリの味噌汁を

4歳児以上に気に入ったのが2歳児だ。


2歳児は味噌汁のアサリを

ひょいと摘まんでは

ぱくりとやるを繰り返す。


ひょい、ぱくり、ひょい、ぱくり


ひょいぱく、ひょいぱく

ひょいぱく、ひょいぱく


ひょいぱくひょいぱく

ひょいぱくひょいぱく


すごい勢いでアサリだけを食べ

2歳児に用意した味噌汁に加えて

私とかみさんの味噌汁のアサリも

2歳児は平らげる。


食べてくれるならありがたいと

2歳児のアサリのひょいぱくを微笑ましく見ていた。


アサリの味噌汁は

週2〜3回の頻度で食卓に並んだ。


その度に2歳児は

3人分のアサリをひょいぱくする。


4歳児は

自分の味噌汁だけで満足しているのか

2歳児と奪い合うこともなく

アサリに執着を見せなかった。




昼食


昨晩に残った1杯分のアサリの味噌汁があり

かみさんは疑問を持たず2歳児に差し出した。


2歳児は

あっという間にアサリをひょいぱくし

アサリは無くなった。



「ぼくもアサリたべたい!」



そこで4歳児が放つ要望に

私ははっとして食卓を見やる。


「もうアサリ無いよ。

味噌汁でよければ飲む?」


かみさんの的外れな返答に

4歳児は泣き出した。



「ぼくもアサリたべたいよ!あああん!」



しまった。

なんとしたことだろう。


兄妹で差を付けず育てているつもりだったが

妹のアサリ好きの印象が強すぎ


何も考えず

1杯しかないアサリの味噌汁を

妹にだけ提供してしまった。




幼い頃に

兄弟と差を付けられて育った古き辛酸が

一気に内心に噴き出し

私は1人、青ざめ、吐き気を感じた。




「ぼくもアサリたべたいよ!あああん!」



4歳児は繰り返す。


私には痛いほど彼の気持ちが理解できた。


アサリに執着して

泣いているのではない。


自分の分が用意されなかった

愛を欠いたぞんざいな扱いに憤り

4歳児は大粒の涙を落とし続ける。




考えてもらえなかった


忘れられていた


気にしてもらえなかった




子にそんな思いをさせてしまった

親として痛恨の極み




200mlにも満たない

残り物のアサリの味噌汁




「味噌汁をふたつに分けて、

提供すべきだった。

、、ごめんな。」


私は彼に詫びた。




彼はしばらく

涙を落としていたが


4歳児は食事を終える頃には

笑顔が戻っている。



点として残る可能性もある。


その点はいつしか線になり

楔を打たれたように

人間関係を割りかねない。



「そんなつもりは無かったという

愛を欠いた無配慮」


こういった差を感じさせるような

無配慮の再発が無いよう


気を付けたい。




本当にすまなかった。