ホームレスから父に成る!

ホームレスだった男の育児と日々の雑感

かみさんの強制デジタルデトックス

あーあー
うーうー
んーんー


今年に生まれた娘の真似をしながら
娘の顔を見つめる。


娘は顔を覗き込むと
笑顔を見せて機嫌よくなってくれるようになった。


娘の笑顔を見ていると心が安らぐ。
しかし、なにかおかしい。




娘の首が右を向いたままだ。
左や正面に向かせても右を向いてしまう。


かみさん曰く
最近になり急に右を向き始めたという。




息子が産まれたばかりの頃
かみさんは胡坐のような姿勢で
長い時間、太腿に息子を乗せていた。


太腿の上の息子は
頭が半分ほど太腿から落ち掛け
のけぞるような体勢であった。


2歳になる息子は
胸を突き出し、顎を首からできるだけ離して
のけぞるようにして寝ている。




私はかみさんに
娘を左の太腿に乗せてばかりいるんじゃないのかと訊ねた。


「そうかもしれない。左手で娘を抱えながら、右手でいろいろ作業しているから。」


右を向いたままの娘を見て
ぞっと血の気が引く。




引っ越してきて知り合いがいないことや
息子と娘の育児でのストレスもあるだろうからと
かみさんがスマホで
深夜の2~3時まで遊んでいようと、とやかく言うことをしなかった。


出勤前の洗濯や三度の食事の用意
退勤後に食材の買い出しをすることも
その時間を一所懸命にかみさんが育児に専念してくれていると思えばこそ
苦にはならなかった。


息子にはアンパンマンの録画を見せ続け
娘は泣かないように太腿に乗せてあやし
かみさんは昼間も長時間スマホで遊び続けるため
家事をほとんどせず、育児を片手間にしているというのが実態に思えた。




右を向いたまま
笑顔を私に見せてくれる娘。


かみさんと知り合ってから初めてにして
最も激しい怒りが沸き上がる。




かみさんが娘を連れて寝室に入った頃合いで
私は布団の中から天井の一点を見つめて
普段と変わらない穏やかな語調で言う。


「このまま娘の首が右を向いたまま戻らなかったとき
 娘が大きくなってから、どう説明するつもりだ。」


かみさんは答えなかった。
息子がのけぞりながら隣で寝ている。


「まだ0歳児で骨が柔らかいだろうから、気を付ければもとに戻るだろう。
 こんなことは言いたくないし、したくないが
 しかし明日からデジタルデトックスをしてほしい。スマホは禁止だ。」


私の言葉に
かみさんは力なく「はい」とだけ答えた。



次の日の朝
かみさんにスマホを渡すよう促し
現在も私のポケットの中にある。


その日、かみさんは珍しく掃除をした。
家事をすればスマホが戻ると思ったのだろう。


しかし、皮肉なことに
今までも掃除できたのに、スマホで遊んでいたからしていなかったのだと
私が思うに至った。



夕食後かみさんは
「娘が右を向くのは生まれつきだよ。」と言った。


自ら「最近になり急に右を向き始めた。」と言ったことを覚えていないのか。
スマホを返してほしいから出た言葉に過ぎないと
無言で取り合わなかった。




今朝ほどの娘の首は
左も向くようにはなってきている。


娘の首に端を発しているが
息子と関わる時間を大切にしてほしいのが狙いでもある。


絵本を読み聞かせ、電車を一緒に走らせ、ハサミで紙を切り刻んだり
タオルにくるまったり、布団から転がったり、ソファで飛び跳ねたり
らくがきしたり、一緒に服をたたみ、一緒に歌ったり踊ったりしてほしい。




スマホで遊ぶことも
タブレットで動画をみることも大切ではある。


無駄なことを大切にしてほしいと伝えてはいるが
最優先にしろとは言っていない。


やるべきことをやらず
スマホに現を抜かし
息子や娘に影響が出ている。



息子のタブレット禁止令と並行して
かみさんのデジタルデトックスをしばらく継続する予定だ。


ありがとう。